外国人が我が国に在留する間において入管局で行う必要な各種の諸手続を「在留審査手続」といいます。 そもそも我が国に在留する外国人は,決定された在留資格の許容する活動範囲を超えたり,活動内容を勝手に変更して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を伴う活動を行うことはできない事となっています。
①外国人が現に有する在留資格と別な在留資格に該当する活動を行おうとする場合には,在留資格の変更手続を行い法務大臣の許可を受けなければなりません。
②現に有する在留資格に属する活動の傍らそれ以外の活動で収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を伴う活動を行おうとする場合にも、所定の手続により資格外活動の許可を受けなければなりません。
③在留資格とともに決定された在留期間を超えて在留したいときにも在留期間の更新手続が必要となります。
外国人の入国と上陸
出入国在留管理庁資料より、まず このような手続きが発生する 日本に入国するところから順に見てみましょう。
周囲を海に囲まれている我が国においては,外国人が領海内に入ること(入国)と外国人が領土に入ること(上陸)を区別しています。
つまり入管法では,”入国”と”上陸”を別個の概念として区別し,この2つについてそれぞれ異なった規制をするという入国管理法制を採用しています。
外国人の入国要件
入管法でいうところで入国拒否となるのは
第三条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入つてはならない。
一 有効な旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)
二 入国審査官から上陸許可の証印若しくは第九条第四項の規定による記録又は上陸の許可(以下「上陸の許可等」という。)を受けないで本邦に上陸する目的を有する者(前号に掲げる者を除く。)
2 本邦において乗員となる外国人は、前項の規定の適用については、乗員とみなす。
簡単に言えば
1:パスポート(もしくは船員なので乗員手帳)を持っている
2:ビザももっている
ちゃんと母国で発行してもらったパスポートか乗員手帳や日本の領事館等で発行された査証(ビザ)をもっていて入国できて上陸審査にのぞめるのです。
そして上陸審査です。
外国人の上陸手続
上陸審査を受け,旅券に上陸許可の証印を受けることによってはじめて合法的に上陸することができることとされています。上陸審査を受けない外国人は,合法的に上陸することができず,許可を受けないまま上陸すれば不法入国又は不法上陸に該当し,退去強制の対象となるほか,刑事罰の対象となります。
次に外国人が上陸を認められるためには,どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。入管法では,外国人が上陸を希望する場合に以下の5つの満たすべき条件を定めています。
- ① 有効な旅券及び日本国領事官等が発給した有効な査証を所持していること
- ② 申請に係る活動(我が国で行おうとする活動)が偽りのものでないこと
- ③ 我が国で行おうとする活動が,入管法に定める在留資格のいずれかに該当すること
また,上陸許可基準のある在留資格については,その基準に適合すること - ④ 滞在予定期間が,在留期間を定めた施行規則の規定に適合すること
- ⑤ 入管法第5条に定める上陸拒否事由に該当しないこと
上陸の申請は,出入国港において法務省令で定める手続により行わなければなりません。また,上陸の申請をしようとする外国人は,法令により提供が免除されている場合を除き,入国審査官に対し,個人識別情報(指紋及び顔写真)の提供を行わなければなりません。
入国審査官による審査の結果,上陸のための条件に適合していると認められなかった場合には,特別審理官に引き渡され口頭審理を受けることになります。また,法令により提供が免除されていない外国人が個人識別情報の提供を拒否した場合も同様です。
口頭審理の結果,特別審理官により上陸の条件に適合すると認定された外国人には,直ちに上陸が許可されますが,上陸のための条件に適合しないと認定された外国人は,特別審理官の認定に服するかあるいは異議を申し出るかを選択することができ,認定に服した場合には本邦からの退去を命じられます。また,異議を申し出る場合には認定後3日以内に法務大臣に異議の申出を行うことができます。
法務大臣は,特別審理官により上陸条件に適合しないと認定された外国人からの異議の申出があったときは,その異議の申出に理由があるかどうか,すなわち,外国人が上陸条件に適合しているかどうかを裁決します。裁決の結果,「理由あり」とされた場合には直ちに上陸を許可されますが,「理由なし」とされた場合には本邦からの退去を命じられ,退去命令を受けた外国人が遅滞なく本邦から退去しない場合には,退去強制手続が執られます。
なお,法務大臣は,異議の申出に「理由がない」と認めた場合でも,特別に上陸を許可すべき事情があると認められるときは,その外国人の上陸を特別に許可(いわゆる上陸特別許可)できることになっています。
このように,我が国における外国人の上陸審査手続は,外国人が上陸のための条件に適合することを自ら十分に主張・立証する機会が与えられています。
ビザ(査証)と在留許可
ビザ(査証)とは
我が国に上陸しようとする外国人は,原則として有効な旅券を所持していることのほかに,所持する旅券に日本国領事官等が発給した有効な査証を所持していなければなりません。
査証は,その外国人の所持する旅券が権限ある官憲によって適法に発給された有効なものであることを「確認」するとともに,当該外国人の我が国への入国及び在留が査証に記載されている条件の下において適当であるとの「推薦」の性質を持っています。
なお,我が国において査証を発給することは外務省の所掌事務となっています。
在留資格認定証明書
入管法は,外国人が「短期滞在」以外の在留資格で我が国に上陸しようとする場合には,申請に基づき法務大臣があらかじめ在留資格に関する上陸条件の適合性を審査し,その結果,当該条件に適合する場合にその旨の証明書を交付できることを定めています(在留資格認定証明書交付申請)。交付される文書を在留資格認定証明書といいます。この在留資格認定証明書制度は,入国審査手続の簡易・迅速化と効率化を図ることを目的としています。
在留資格認定証明書は,我が国に上陸しようとする外国人が,我が国において行おうとする活動が上陸のための条件(在留資格該当性・上陸基準適合性の要件)に適合しているかどうかについて法務大臣が事前に審査を行い,この条件に適合すると認められる場合に交付されるものです。なお,その外国人が我が国で行おうとする活動に在留資格該当性・上陸基準適合性が認められる場合でも,その外国人が上陸拒否事由に該当するなど他の上陸条件に適合しないことが判明したときは,在留資格認定証明書は交付されません。
外国人が,在留資格認定証明書を日本国領事館等に提示して査証の申請をした場合には,在留資格に係る上陸のための条件についての法務大臣の事前審査を終えているものとして扱われるため,査証の発給に係る審査は迅速に行われます。
また,出入国港において同証明書を提示する外国人は,入国審査官から在留資格に関する上陸条件に適合する者として取り扱われますので,上陸審査も簡易で迅速に行われます。
在留資格一覧
就労関係の在留資格
- 「教授」(例,大学教授)
- 「芸術」(例,作曲家,画家,著述家等)
- 「宗教」(例,外国の宗教団体から派遣される宣教師等)
- 「報道」(例,外国の報道機関の記者,カメラマン)
- 「経営・管理」(例,企業等の経営者,管理者)
- 「法律・会計業務」(例,弁護士,公認会計士等)
- 「医療」(例,医師,歯科医師,看護士等)
- 「研究」(例,政府関係機関や私企業等の研究者等)
- 「教育」(例,中学校,高等学校等の語学教師等)
- 「技術・人文知識・国際業務」(例,機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師等)
- 「企業内転勤」(例,外国の事業所からの転勤者)
- 「介護」(例,介護福祉士)
- 「興行」(例,俳優,歌手,ダンサー,プロスポーツ選手等)
- 「技能」(例,外国料理の調理師,スポーツ指導者,航空機等の操縦者,貴金属等の加工職人等)
- 「特定技能」(※特定技能1号,2号共通)
- 「技能実習」(例,技能実習生 ※技能実習1~3号イ及びロ,いずれも共通)
留就学・文化活動・研修関係
- 「文化活動」(例,日本文化の研究者等)
- 「留学」(例,大学,短期大学,高等学校,専修学校等の学生)
- 「家族滞在」(例,在留外国人が扶養する配偶者又は子)
- 「研修」(例,実務作業を伴わない研修生)
- 「特定活動」(例,外交官等の家事使用人,アマチュアスポーツ選手及びその家族,インターンシップ,特定研究活動,特定情報処理活動,医療滞在,観光目的等の長期滞在者,本邦大学卒業者及びその家族等)
日本時の配偶者・永住者の配偶者・定住者関係
上陸拒否
公衆衛生,公の秩序,国内の治安等が害されるおそれがあると認める外国人の入国・上陸を拒否することとしています。
① 保健・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者
② 反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者
③ 我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者
④ 我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸を認めることが好ましくない者
⑤ 相互主義に基づき上陸を認めない者
以上の観点から 上陸を認めることが好ましくない外国人の類型 にあてはまると”上陸”できなくなるのです。
改良中です。しばらくお待ちください。